長沼伸一郎著作集
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無形化世界の力学と戦略
無形化世界の力学と戦略(上)   無形化世界の力学と戦略(下)
我々は無形化した世界を生きている。
100年先の未来を見据えた、渾身の大作。
地球の未来を本気で考えるのための、必読の書。
立ち読みする  第1章が立ち読みできます (PDFファイル)
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上巻 ¥1,000. 下巻 ¥1,000 (消費税込み)
  (初版 1997年 通商産業研究社)
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書評

  「SFマガジン」(早川書房)1997年11月号書評
国際経済の諸要素をすべて統一的に数値化、物理学手法で解析してみせた快著

 十五秒のテレビCM一本のもつ力は、航空機から投下される爆弾2㎏に匹敵する、あるいは、日本の現在の経済力は、戦車8万両に相当する打撃力を持つ。  などと出し抜けに言われたら、まず誰だって、一瞬はあ?という顔をするに違いない。
 一番短いスポットCM一本が爆弾2㎏、と言われたって・・・・2㎏といえばかなりのものだ。部屋の一つくらい軽く吹っ飛ぶだろう。いったい、CMなどという、具体的な実体をともなわない情報の力をどのようにして、物理的な力の大きさに換算できたのだろうか。そして、そもそもそれは何のために?そして、その方法には、何かわれわれをちゃんと納得させてくれる根拠があるのだろうか?
 そう考え始めたあなたは、本書『無形化世界の力学と戦略--理系からの解析は戦略と地政学をどう変えるか--(上・下)」をいったん読みだしたなら絶対ハマる。
 本書は、ある種の類型的人間--めったにはいないが、理系でハードSFが好き、という人々の中には、たしかにそのような傾向の人間がかなりの頻度で見受けられる--にとって、近来まれにみる、あるいは史上空前の快著とうつるのではないだろうか。
 すなわち、この世の森羅万象すべてのものの持つ意味、その力を、何らかのメソッドによって統一的に表記してみたい、と一度でも夢想したことのある人、本来形のない、定量的な評価の方法もないとも割れているものまで含めた一切合切の数値化を実現する方法はないか、と考えたことのあるすべての人にとって、ついに約束の書が姿を現したというわけである。
 そもそも、これは何について書かれた本なのか?著者長沼伸一郎氏の率いる「パスファインダー物理学チーム」は、文系的思考・手法では手の出せない問題に、物理学の手法で切り込み、何らかの解答を導き出すことを目的とした研究グループで、本書はもともとそのグループ内での経済学の教科書として構想されたものだという。つまり、現代の国際経済を、純粋に物理学的な手法で分析し、理解するための本だったのである。
 だが、その視点から眺めた世界経済は、文字通り兵器を直接使用しないという点だけが実物と違う戦争そのもの(比喩的な意味ではない)であり、さらに、メディアの力や各国の科学研究機関の及ぼす影響力も、経済力と同様無形化された戦力である、という実相が浮かび上がってきた。そこで、経済力を陸軍の軍事力、メディアの力を空軍力、科学研究の力を海軍力にそれぞれ対比させ、これらを定量化するメソッドを次々に編み出していく。
 この過程をどう評価するかによって、あるいは、本書に対する評価は大きく変わってくるかもしれない。砲弾の運動エネルギーをジュールに換算し、それをそのまま円で表記する方法など、この種の考え方に通常触れることのない人々にとっては、一種非常に粗放なメソッドにも思えるだろう。しかし、このようにして、例えば国家の経済力を仮想の戦車の代数に換算し、それが、実際に各国の保有する戦車戦力と非常に良く近似するという事実を前にすると、確かにこのメソッドに対する考え方、つまり自分自身のオーソドックスな世界観も変わってこざるを得まい。
 パスファインダー・チームは、このようにして記述された無形化世界の、さらに将来の変貌へとその興味を向けているが、このような世界認識の座への呼びかけに対し、あるいはわれわれSF者こそ真先に答えるべき立場にあるのではなかろうか。世界のシュミラクラ化という概念にもっともよくなじみ、その世界を動かす仮想の超原則について、他の誰よりも想像力をたくましくしてきたのはわれわれである。あるいは、本書は近い将来世界構築の魔力にとりつかれたクリエイティブなゲーマーの聖典となるかもしれない。 (金子隆一)
  「月刊アスキー」1998年1月号書評
 昨今の理工系の専門書は、厳密さを追求するあまり、まるで法律文書を読んでいるかのように難解でイメージがわかないものが多い。一般読者を相手に技術解説するのが仕事になった評者が今にして思えば、専門書が難しいのは、読者のレベルが低いからではなく、学問をわかりやすく説明するという点において、多くの学者が創意に乏しく、知的努力をほとんど払っていないか、あるいは難解さによって貧弱な内容に崇高さを装わせているかの、どちらかだと断言できる。  ところで私が大学に入学した’87年に、『物理数学の直観的方法』という本が発売され、驚喜して購入した記憶がある。これは、厳密さはさておいて、理工系の学生が「難解」に感じるであろう基本定理や公式を直観的に、かつ学生・学者の本音を汲み取りながら解説した名著で、現在も大学生協などでベストセラーになっている。
 この著者が’92年に『一般相対性理論の直観的方法』を発表した後、約7年のブランクを経て発表したのが本書である。取り扱う範囲は、現代史、経済、地政学など、およそ理系とはかけ離れているが、文系の学者がさじを投げるような(すでに投げてしまった)諸問題に対して、独創的な手法で分析を試みる。  本書が提示する基本テーゼは、次の通りだ。第二次大戦中とそれ以前の時代は、軍事パワーが世界情勢を決定していたが、戦後の冷戦時代は、経済をはじめとする「無形化されたパワー」が世界を動かす主役となった。そして、経済力を陸軍力に、メディアの力を空軍力に、研究機関の知的影響力を海軍力に対応づけ、これら無形化したパワーを物理的な軍事パワーに換算・視覚化して、冷戦中の50年間を分析する。自由主義と社会主義の冷戦の対立は、自由主義陣営の勝利で終わったが、一方で、資本主義経済の行き詰まりも現実になりつつある。本書は、現代は文明の大きな転換点にあると指摘し、日本および世界が撮るべき戦略を提示する。本書は、日本で生まれた初めてのオリジナルの戦略論・文明論として歴史に残るだろう。 (笹川)
  「歴史群像」(学研)1997年 夏→秋号書評
 副題は「理系からの解析は戦略と地政学をどう変えるか」。「無形化世界」とは、無形パワーである情報や経済が、直接的行使力である軍事力にとってかわった世界のことを指す。すなわち現代社会のことである。この無形パワーを数値化し、これを基に戦後50年間の戦略的な解析を行ったのが本書である。新しい戦史・戦略論の出現である。
  サイト運営者からのコメント
本書の初版が発行されたのは1997年。 まだ“グローバル化”という言葉が一般的ではなかった頃に、本書では冷戦終結後の“来るべき世界”の姿をいち早く予言しています。 それから10年経った今、その予言は古びたどころか、なお一層の重みを増したかのように見えます。 明日の予言さえ難しくなった今日、この種の本で10年前の内容が今なお陳腐化せず評価に絶え得るのは、 本書が普遍的な洞察を有しているからだと言えるでしょう。
出版当時の状況を振り返ると、本書の内容は必ずしも万人向けであるとは言えませんでした。 また、当時としてはあまりに先進的、独創的だったゆえ、多くの議論や批判の引き金となる記述もありました。 そういったことを踏まえた上で、私は本書を1つのSF、あるいは世界の取り得る1つの可能性として受け止めていました。 しかしその後、現実が不思議なほど本書の主張の後を追ってくるのを目のあたりにして、 本書が単なるSFでは終わらなかったことを実感することになったのです。 上下巻を合わせると500ページを越す大著ですが、その分量に充分応える、豊かな内容を請け合います。

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